夢逢人かりそめ草紙

日常のあふれる思いを心の発露として綴り・・。

大衆は『堀江失墜』を待っている・・。   最終

では、ホリエモンは新しい時代のカリスマになれるのだろうか。


堀江と同じく東大在学中に、時代に先駆け就職情報を産業にしたリクルート江副浩正は、

その貧しい育ちへのコンプレックスから、エスタブリッシュメントを目指し、

政治家や財界人に株をばらまいて躓いた。


モノと土地への飽くなき執着に衝き動かされたダイエー中内功は、

バブル崩壊に伴う土地本位制の互解によつて自滅した。


進駐軍相手の商売から身を起こし、自らユダヤ人と称したマクドナルドの藤田田は、

デフレ時代に「インフレが来る」と予言し、安売り路線を転換して失敗、引退に追い込まれてい

る。


「人の心は金で買える」とうそぶき、マネーゲームにいそしむホリエモンを険悪する人も多い。

江副も中内も藤田も、金への執着、所有欲と支配欲は人並はずれて強かった。

中内は取材のメモをとる私のボールペンまで欲しがった。

まるで自らの欲望を追い立てるかのように、

彼らは事業を拡大していった。


こうした、良くも悪くもアクの強いカリスマたちを前にすると、

六本木ヒルズに住み、ブランドTシャツを着て、

にわかグルメを気取る程度で満足するホリエモンは、

その発言とは裏腹に、

欲望の濃度において遠く及ばない。

私には、そうみえてならない。

カリスマというより、二十一世紀の珍獣といったほうがいいかもしれない。


人間とは、永遠に物語を求める動物であり、

謎を愛しつづける生き物である。


江副や中内や藤田の強烈な所有欲や支配欲は、

人並みはずれた物語を紡ぎだし、

その物語が人々を引きつけた。


☆    ☆    ☆

長らく転記、引用させて頂いたが、著作者の経済歴史観がでている作品である。

また、マスメディアの戦後史を的確に表示し、勇気ある随所の表現に敬意したい。

こうした著作者が、日本で健筆を揮える、日本社会の良識も感謝したい。